さて。

ちょっと前のことになりますが、宮崎駿さんがドワンゴの会長をはじめとした面々に、ダメだしなんてものじゃない、在り方そのものに対する否定をした一件がありました。結構、衝撃的なニュースでしたので、覚えていらっしゃる方もいるかと思います。

今回は、この件をとりあげてみようと思います。

非常に話題が大きかったので、皆さんも説明されるまでもなく、ご存知かもしれませんが、改めて簡単に流れを説明すると。

ドワンゴというIT企業が人工知能を用いたCGのプロジェクトを行っていて、非常に良いものができたところから、ジブリのアニメ映画制作に何らかの寄与ができるのではないか?というところで、ドワンゴの川上さんという会長を始め、プロジェクトチームの方々が宮崎駿さんのところにプレゼンしにいった、という流れのようです。

このプレゼンで宮崎さんからとんでもないダメ出しをくらってしまって、プレゼンの場が凍り付いてしまったので、大いに話題になったようです。

たぶん、こんな感じなのではないかと思います。

問題になったのは、その出来上がりの作品をプロジェクターで写している最中、ゾンビみたいなものが動いているところで、宮崎さんがプチっといってしまい、もうそこからはお話しにならないモードになりました。

この事件は非常にわかりやすい例ですので、ここでひとつひとつポイントをみていこうかと思います。

持っていく前に気づけない

まず最初の興味深い点は、彼らドワンゴの面々は、このようなものが宮崎さんに受け容れられるわけがない、ということに全く気づいていない、という点です。

こんな風に彼に指摘されれば、プレゼンが終わり、どこかでお茶しながら、感想を言いあっている最中、「やっぱだめだと思ったんだよ、俺は」なんていう人が必ずいるはずです。そして、苦笑いしながら、怒られたけどこの企画は間違っていないから、どこかわかる所にもっていって昇華させよう、なんていうおちになっていると思います。

これが間違ったエゴに冒されている人、眠っている人の特徴です。

彼らは、持って行く前にこんなものが通用するはずがない。ということを全く疑っていなかったはずです。自身満々だからこそ、案件として持っていったわけですから。

彼の作った作品を観たり、彼のインタビュー記事を読んだりすれば、彼がどういうレベルで生きているのかわかるはずで、それがわかるからこそ、こんなものが彼の心に刺さるはずがない、ということになるのです。

ですが、彼らはもちろん彼の作品を見ているでしょうが、気づけません。
彼がどんな想いでつくっているのか?さっぱり伝わっていません。
伝わっていないから、あのようなものをつくっているわけです。

(つづく…)

【レベル】:ホワイトクラス~ゴールドクラス