天の存在達、使者達が近づいてくると、屋敷の全てのドアは開かれ、隠され守られていたかぐや姫はいとも簡単に見つけられ、彼女自身が彼らの方に向かっていってしまいました。

しかし、かぐや姫が彼らに迎い入れられてもなお、翁と嫗は眠りをかいくぐり、彼らに姫を連れて行かないで欲しいと懇願しました。

結局はこれです。
初めは、相手に攻撃をけしかけ、それが無駄だと知ると、今度は懇願するわけです。
このような在り方は、今でもそこら中で見る事が出来るのです。

こういう風にしてみると、自分だと思っている自分がいかに卑しい存在なのかがよくわかるのではないでしょうか?
そして、このようなレベルの存在が悟りや解脱、自由といったものを達成する事が出来るとお思いでしょうか?

こういうわけで、ここで天の存在達の王であるものは、翁に対して、こう話しかけるわけです。

「お前、幼き者よ…」と。

幼きものです。

翁は、もうずいぶんと高齢になっていますが、彼のことを王は ”幼い” と言うわけです。

これはなにも、この王が何千歳か何万歳かわかりませんが、それほどの年齢から比較すれば、翁など王にとってはまだ子供である、という意味ではありません。そういう意味ではありません。
体の年齢は関係ありません。
ここで、王が彼のことを「幼きものよ」と指摘しているのは、当然、彼の進歩レベルのことを言っているのです。

奪われるとわかれば攻撃し、それが無駄なら泣き叫んで嘆願する。

このほんの少しの態度だけでも、いかに翁が幼稚な存在なのかがわかります。

また、すでに彼がどんな存在かを私たちはレビューしてきました。

”狂っている翁、そして狂っている世界”

それを振り返れば、彼が幼稚であることは明白なのです。

たとえ、彼が70や80であったとしても。
そして現在ですら、ほとんどすべての人が、翁のような生き方をしているのですから、世界がいかに幼いレベルであるのかは、あまりにも明白なのです。

繰り返しますが、ここではそのような体を基本とした年齢を指摘しているのではないのです。

以前のテキストで何度も触れていますが、体の年齢ではありません。
何も翁に限ったことではなく、70になろうと、80になろうと、ほとんどの人は、幼稚なのです。

私にとってもそれは同様で、社会人と言われる人々と接しても、彼らのほとんどが非常に幼く見えてしまうのです。
それが無邪気な子供であればいいのですが、事はやっかいであり、むしろ餓鬼のようだ、ということなのです。

霊性に全く無頓着で、自分だと思っている自分に眠っていればいるほど、この度合いは強まります。

実際、私を育ててくれた両親が、実は子供であることを見た時のショックは予備知識がまるでなかったせいもあり、すさまじいものがありました。

この視野に移った時、一番最初に見たのが両親だったのです。

彼らはすぐそこで会話しています。
しかし、あの永遠が光り輝いている中でそこにはヴェールと呼ばれるものがあり、その内側で彼らは子供のままだったのです。

これはよく言うインナーチャイルドとか、そういう類のものではありません。

光り輝いている永遠の瞬間のなかで、彼らが子供そのものであることを見た時、途方もない憐みのような想い(言葉には言い表せませんが)に駆られました。

彼らは、おそらく6歳やそこらから成長できていなかったのです。

なるほど知識は豊富です。
生きていくための知識は確かに身に付いています。
しかし、それだけだったのです。

この瞬間、私は自分自身の責任の重さに気づきました。
私は、これから自分が歩んでいく道のりの厳しさを直感したのです。

そして、それはそのとおりでした。

私の周囲の人間関係のすべてが、両親と同じレベルにあったことを見ることになったのです。
それ以来、私はもういわゆる年齢で人を見ることは、全くなくなりました。全く違う視野が私の視野であり、そこから見るようになってしまったのです。

だからこそ、ここで王が翁のことを「幼きものよ」と表現していても、何の違和感も感じません。なぜなら、私もそれがわかるからです。

だからといって、これを彼らに伝えても彼らが向きを変えて成長するかと言えば、まったく逆です。

彼らは、自分が幼いとは思っていません。
むしろ、立派な社会人だと思い込んでいます。
年齢相応な生き方をしていると、社会的にまっとうな生き方をしていると信じ込んでいます。なぜなら、眠っているから。

眠っているから、間違ったエゴのままだから、この指摘を攻撃と捉えます。

ですので、守るために、総攻撃をかけてくるわけです。

こういうわけで、平和はありえません。成長もありえません。

彼らは自分に眠っているので、起こそうとするものは何であれ、敵とみなすのです。

だから、世界を変えられないのです。
このようなやり方では、世界は変えられないのです。

愚かだった私は、それを何度も何度も経験してきました。
経験し尽くして、わかったことはこういうことでした。

もちろん、概念として世界は変えてはいけないことは知っていました。
しかし、私にとってはそれはまだ概念で、本当には知っていませんでした。
私は、それを経験として通過しなければ納得いかないプログラムだったのです。なんという経験を、私は私にさせたのでしょうか!?

けれども、これでよかったことを今は知っています。
私の計画では、これは完璧でした。
完璧だったのです!

(つづく…)

【レベル】:クリアクラス~ユニティクラス