タカギさんは、「あれ?まだいたの?帰ったんじゃなかったのか?」

というささいな疑問を感じましたが、まー、どーでもいいことです。
それよりも、早く終わらせてあがることで頭がいっぱいだったそうです。

しかし、しばらくすると

「あれ?ない。ここに置いてあったケーキがない!」
という部長の声が聞こえてきました。

最初、声のトーンは小さかったのですが、段々とそのボリュームが大きくなっていきました。

「俺のケーキがない!!誰かもっていきやがったな!!」
「誰だーー!」

段々と声のボリュームが大きくなるに従い、それを食べてしまった彼らは、デスクから顔を見合わせて、「やべーよ。やべーよ。」と冷や汗を垂らしたそうです。

部長のその声は、大きくなるに従い、暴言に変わっていったそうです。

そのあまりのヒステリックな暴言に、そのうちの一人は、パーテーションの陰に隠れてしまいました。

他の3人は、顔を見合わせながら、「あいつ、隠れたぞ!卑怯者め!けど、もう少ししたら、部長の怒りも収まって、どっかいくだろう」と様子をみていたそうです。

しかし、部長の怒りはもうとどまることを知りませんでした。

近くで仕事をしている協力企業の人たちが、一体どうすればいいんだろう?と真っ青になっていたのを見て、タカギさんが、事態をおさめるべく立ち上がりました。

「部長、すいませんでした。僕が食べてしまいました。」

そう、正直に謝ると、他の人も「僕も、僕も」と次々に、告白しました。

タカギさんからすると、ちゃんと正直に謝ったのだから、それで許してくれる、と思ったのだそうです。

ところが…

その部長は、食べたのが自分の部下だとわかると、顔を真っ赤にして、さらに大声で怒鳴り、なじりはじめたのだ、というのです。

「俺の、俺の大切なケーキを勝手に食いやがって」

しかし、食べた彼にしてみれば、

「たかがケーキじゃないか。何もそんなに真っ赤になって、いつまでもいつまでも怒鳴り散らさなくたっていいじゃないか。」

全員並ばされて、怒鳴り散らされている間、その部長の下で働いていることが、なんだか無性に悲しくなってきたそうです。

彼は、怒鳴り散らされている間、とうとう我慢できなくなって

「部長、ほんとに自分らが食べちゃったことは悪いと思っています。でも、その机に置いてあったので、差し入れだと思って勘違いしちゃったんです。そこは、わかってほしいです」

と話すと、それを聞いた部長は、さらに激高して、そのアクションに対してあらゆる批判をぶつけてきたそうです。

「なら、お前はあれか?」
「なら、お前はこれこれ、こうするのか?」

と、”おなじみのロジック”を使って、彼らを責めたてました。

「勘違いだって、絶対に許さない。俺のケーキを食いやがって」

そんな感じだったそうです。

そして、その後も、部長のエネルギーが切れるまで、怒鳴り散らされていたそうです。

もちろん、協力企業の人たちは、それをあっけにとられて見ていたそうです。

そして、その部長は怒るだけ怒ったあと、席に戻って帰り支度を始めました。

彼らは、このまま帰すのはまずい、ちゃんと最後にもう一度謝ろうと話し合い、
すたすたと歩いてオフィスを出ようとする部長に駆け寄って、全員で頭を下げて謝ったそうです。

(つづく…)

【レベル】:ホワイトクラス以下