このようにインターネットが普及したことで、テレビはかつての勢いを失ったわけですが、ではなぜ、テレビはインターネットに取ってかわられたのでしょうか？
私がわかったことの一つは、それは、”押し付けと選択” です。
私が育ったところは、東京でした。
家に帰れば、既にテレビはついていました。
そして、テレビのチャンネルは、NHK、教育、日テレ、TBS、フジ、テレビ朝日、テレビ東京の７つでした。選択できるのは、７つでした。
そして、テレビからは ”一方的に情報が流れていた” のです。
私たちは、それをただ、あんぐりと口を開けて消化していただけです。
「これがいい」「あれがいい」「これが流行っている」「これを信じましょう」「こういう生き方をしましょう」
すべて彼らが考え出した価値観を、一方的に受け入れるしかありませんでした。
つまり、視聴者である私たちの選択権は、そこになかったのです。
なぜなら、番組はすでに作られていて、垂れ流し的に一斉に放送すればよかっただけだからです。
だから、何かの番組が嫌で違うチャンネルに変えても、同じように情報は常に一方通行でしかありませんでした。
言ってみれば、私たちはそのように強烈な催眠にかかっていた、ということが言えます。
そして、その催眠に満足していたわけです。
なぜなら、全てはあちら側で作ってくれていて、私たちは”何も考える必要がない”ことを望んでいたのです。疑問に思う必要も、選択する必要もありませんでした。
ある意味、非常に楽な時代だったのです。
催眠は、ばっちりと効いていました。
しかし、インターネットが出現したことで、雲行きが怪しくなってきました。
インターネットは、スマホの普及もあって、今では生活になくてはならないインフラです。その最も重要な理由は、インターネットは、”利用者が情報を取捨選択できる自由”
”押し付けられた価値観ではなくて、価値観を探しにいける自由” を持っていることです。
通販や検索機能など、いろいろな便利な機能がありますが、テレビにはこのような自由は全くありません。いまだに、一方的な情報送信だけです。
もちろん、テレビも番組中に視聴者を巻き込む企画をやっていますが、ほとんどすべての視聴者にとっては、”テレビはあちら側にあるコンテンツ” という認識なはずです。
常時参加している感、常時つながっている感、常時情報を取捨選択できる感 は、全くないはずです。
このようなわけで、インターネットが出現したことで、テレビが持つ催眠効果がかなり薄れてしまったのです。これは、年齢が若ければ若いほど、顕著になるはずです。
なぜなら、テレビ番組による催眠効果歴がそもそも薄いために、その催眠にひっかかりにくくなっているのです。それよりも、今はインターネットという催眠効果のほうが、強く彼らに働いているのです。
逆にいい例は、私の両親です。
10年ぶりくらいに実家に帰ると、案の定、テレビはつけっぱなしでした。
両親は、とにかくテレビをつけっぱなしにしていないと落ち着かないのです。
彼らは、テレビを見て、そこで言われていることを頑なに信じています。
なぜなら、つけっぱなしにすることで、完全な催眠がかけられているからです。
情報を一方的に押し付けられること、「考えるな、疑問に思うな、こちらが指示したことだけ、信じていればいいんだ。そうすれば、お前たちは幸せになれるんだ。」
この催眠効果が強いために、彼らは案の定、インターネットをしません。
なぜなら、もう新しい催眠にかかることが面倒だからでしょう。
ならば、今の催眠で十分だ、彼らが望んでいることは、そういうことなんだとわかったのです。
こういうわけで、テレビとインターネットという催眠の移し替えが行われたわけですが、ともかくテレビ業界は、いま必死です。
彼らは、一生懸命、この社会の意識に釣竿を投げ入れています。
前までは、釣竿を投げ入れる必要すらなかったかもしれません。
しかし、今ではこの国に住んでいる人間たちがいかにひっかかるのか？
どうすれば、意識をひっかけられるのか？
そのポイントは、どこなのか？
一生懸命、ポイントを探して、船をあちこちに移動させているのです。
彼らが望んでいるのは、その意識のポイントを探し当てることです。
ひとたび、そこがわかれば、そこに釣竿を投げ入れることで、
ヒットするからです。ヒットしたら、またそこに投げ入れればいいからです。
彼らは、そういう風に意識のポイントを、フィッシングできるポイントを
目を血走らせて探しています。
しかしながら、彼らは大事なことに気づいていないのです。
彼らのレベルが単に動物のレベルゆえに、意識というものを扱えないのです。
だから、今のところ、視聴率は下がり続けるばかり、テレビから人が離れていくばかりなのです。
今回は、世界シリーズの一つとして、テレビがなぜこんなに衰退し始めているのか？
その理由について、この社会の中で、どのような意識の変化があったのか、についてみてみました。
【レベル】：ホワイトクラス以下～クリアクラス
