・家族との関係

かなり昔、母親が私の日常を見かねて、何をしているのかを問いただしたことがありました。

彼女にしてみれば、苦労して息子を育て、大学にもやり、いい教育を与えてきた息子が何たる体たらくな生き方をしているんだ、と怒り心頭だったのです。
もちろん、母親だけではなく、父親もまた息子に対して、絶望を感じていたようでした。

彼らにしてみれば、一流大学に入って、自分たちを助けて欲しい、と思っていたようです。息子が一流の会社に入って、良い役職に就けば、自分たちの近所の評判もあがる、というおなじみの考え方でした。
彼ら両親にとっては、いかに他人から自分たちが良く見られるか?
それだけが重要だったのです。

もちろん、こんな言い方はしませんでしたが、彼らを観る限り、事実そう言っているのが伝わってきました。

そういうわけで、言ってみれば、彼らにとって私は投資失敗物件なのですから、こういう風に詰め寄りたくなるのは当たり前です。

それで私は自分の身に何が起こったのか、そして”私もまた、神である”という理解を彼女に話し、一瞬一瞬を最高度に生きるために常に「それが私なのか?」と自分に問いかけて、生きている。と説明したのです。

母にこのことを話す際、私は躊躇しました。
直感的に、このことを話したって、彼女を傷つけるだけ、ということはすぐにわかりました。
進歩の段階において、つまり彼らのレベルからしたら、絶対に受け入れられないレベルの話だったからです。

けれども、彼女は非常にヒステリックになっていたので、しぶしぶ、私は自分の状態について説明したのです。

その時の彼女の顔は、案の定、本当にひどいものでした。
顔にまったく表情がなく、続いて、この子は完全に狂ってしまった。という絶望的な表情に変わったのです。

実際、彼女は、「あなたが何を言っているのか、さっぱりわからない。ただ、固い石をぶつけられているみたいで、非常に不愉快だわ」と告げました。

当時、既に彼らが眠っているのを見ていたので、わかっていた反応でしたが、やはりそこにはどうしようもないほどの救いのなさを感じたのを覚えています。

彼らは、よくわからないけれども世間でやっているから、時期になればある方向に向かって巻き寿司を食べます。
なぜって、やることになっているから。
やれって言われてるから。テレビ番組でやってるから。
それが本当かどうかを疑うほうが、狂っている。

なぜって、国が、お上が、世間が、みんながやっているんだから
だから、時期になれば、ある方向を向いて巻き寿司を食べ、時期になれば、豆をまく。
時期になれば、実家に帰って先祖供養をする。会ったことがなくても。
時期になれば、くそ重い神輿なるものを苦しくても持ち上げる。

その理由や意味や意義、効果についてはさっぱりわからないし、知ろうとは思わない。
みんなやってるし、今までやってきたのだから、やったほうがいいんじゃないか。
このような方々は、完全に眠っていて、起こされることを嫌います。

・それは、あなたのことではありません

ですので、あなたは、一人だけでこの私もまた、神である。という理解を日常で実践していかなければなりません。これは、拡声器で拡げるようなものではないのです。
静かに、一人だけで、自分自身の絶対的な意思のもとに習熟していく類のものです。

奇妙かつ、皮肉なことは、そうしていくと人々が吸い寄せられてくる、ということです。
間違いなく、人は違う光をその人に見出すのです。
そして、その時、あなたは彼らに何を話せばいいのか、すぐにわかるようになります。

彼らがどこにいて、何を欲しがっているのか?
何が不足していて、だから何で苦しんでいて、何を欲しがっているのか?
それを観るようになってきます。

私もまた、神であるという理解は、このような状態につながっていきます。
このことが何を意味しているかと言えば、それはもうあなたのことではない、ということを意味しているのです。

いままでは、個人の状態で眠っていました。
いままでは、自分だと思っている自分にしか関心がありませんでした。

しかしながら、この理解は、自分に前ほど関心がなくなってきていることを示しているのです。そして、相手を含めて観れることは、そこに前ほどの分離感がなくなってきている証拠なのです。

こういうわけで、私もまた、神である、という理解は最初から最後まで首尾一貫して求められる最も重要な理解なのです。

くどいようですが、世界は恐らくしばらくの間は、そのままのように感じるでしょう。
けれども、世界を救おうとしたり、変えようとしてはなりません。
大切なことは、静かに誰にも言わず、黙々とこの作業をし続けていくことです。

そして、その結果として、何が起きるかを、自分自身で見てみてください。

以上で、第3回を終わりにしたいと思います。

(おわり)